http://shikakenin.blog.shinobi.jp/%E7%AB%B6%E9%A6%AC/%E6%97%A9%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%AE%E9%A6%AC%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84早生まれの馬たちの戦い
競馬の世界では(内国産馬は)4月生まれの馬(3月生まれも含む)が理想と言われてきた。
その理由は主要馬産地である、
北海道で4月になると、牧場の日照時間が長くなり、仔馬たちの運動量が増えるからだ。
4月より前だと放牧地は雪の影響で仔馬たちを放牧させられない日が多く、運動量が少なく、馬の成長に悪影響が出てしまう。
また、4月より遅く生まれると、早く生れた馬に比べて成長が遅れて、デビューする時期が遅くなる。
今、サラブレッドの生産者たちは1~2月生まれの馬が活躍できるように育成を改善している。
日照時間の不足を補うため、屋内設備に照明を設置して、外での運動の代わりに屋内で運動を行い、4月の環境に近づけて、馬体の成長を促している。
これらのことを行う背景には
種付け時期の早期化が考えられる。種付け時期の繁忙期は3~5月。種付けから出産まで11ヵ月なので、
4月生まれの馬に生産するためには5月に種付けする必要がある。この時期だけに種付けを集中して行うことはできない。1日に多くて5回の種付けなので、人気のある種牡馬は200頭にものぼる種付け依頼をこなすことはできない(
キングカメハメハは2007年に245頭の種付けを行った)。
2月から種付けができれば、種牡馬を持つ方も種付けを依頼する方にも都合が良い。持つ側は種付けできる頭数が増えて、収入が増える。種付けスケジュールが一杯で無理と断られなければ、人気種牡馬の仔は高く売れるので、依頼する側も潤う。また、セリでの見栄えも早生れの方がよく、トレーニングセールの時計もいい。
今年の桜花賞の人気馬たちは1~2月生まれの馬が多かった(
トールポピー1月30日生まれ、
リトルアマポーラ1月24日生まれ、
オディールは2月28日生まれ、
ブラックエンブレムは1月22日生まれ)が、勝ったのは5月生まれの人気薄の
レジネッタだった。
1月生まれでG1を最近勝ったのは
オレハマッテルゼ(
2006年高松宮記念)、ただ1頭と思われる。2月生まれは
ウインクリューガー、
カネヒキリ、
ショウナンパントル、
ソングオブウインドなどがいるが3.4月生まれに比べて少ない(そもそも母体が少ない可能性もある)。3月生まれはかなり勝っている。
ディープインパクトも3月生まれ。
外国産馬は1月生まれで強い馬もいる(
シンボリクリスエスや
ファインモーション)。雪の影響がなければ、早生れの方が遅生まれより体の発育が進んでいるので2、3歳戦に有利だ。
早生れの仔馬が多く流通するためには結果が求められる。今年のクラシックは早生れの馬対4月生まれの戦いでもあったのだ。この戦いは来年以降も続く。
【参考文献】
森秀行『
最強の競馬論』2003年、講談社現代新書
種牡馬の生活
http://www.sanspo.com/keiba/deep/news/ke2006122701.html
“仕事嫌い”の名種牡馬たち
http://www.jra.go.jp/topics/column/bstory/3_1.html早生まれ子馬の管理
http://www.equinst.go.jp/JP/arakaruto/baji/bt26-110215.html
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