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Nouriel Roubini(ノリエリ・ルービニ)「
なぜ広がる、マイナス名目金利」(日経ビジネス2015年3月16日号)を読んでいたら、「
マイナス名目金利」は
金融政策として有効かもしれないと思った。
一般的に、金融政策は金利を引き下げることにより、景気を刺激することで景気をよくするが、名目金利は「ゼロ」より下がらないと今まで考えられていた。
物価が下がり続け、「デフレ」に陥る可能性がある場合、名目金利を「ゼロ」に誘導し、
量的緩和政策により、人々にインフレ期待を抱いてもらうことでデフレ脱却を目指すのが日本と
アメリカが採用した金融政策だ。
量的緩和政策では資産価格の高騰などが懸念されている。
一方、現在、
ユーロ圏と
スイス、
デンマーク、
スウェーデンで名目金利が「マイナス」になっている。
特に、ユーロ圏では大胆な量的緩和を導入したくても、
ドイツの反対によりできない状況だった。
そこで、2014年6月5日に
欧州中央銀行は「マイナス名目金利」を導入すると発表した。
(金融緩和も同時並行で継続している)
名目金利がマイナスということは銀行にお金を預けても、利息は得られず、逆に「手数料」を支払うことになる。
そんな銀行にお金を預ける人がいるのか!
いや、名目金利が多少マイナスでもお金を預ける人はいるのだ!
たとえば、タンス預金でお金を家に置いていたら、ネズミに紙幣を食べられた人がいた。
また、キャッシュを家に置いておけば、強盗に入られる可能性もあるので、やはり銀行に預ける人もいるだろう。
金利がつかない「
当座預金」の場合、口座開設などの手数料がかかるので、多少の手数料であれば、預金者は銀行にお金を預けるのかもしれない。
ただし、名目金利が少しくらいのマイナスなら、銀行に預ける人もいるかもしれないが、マイナス幅が大きくなれば、頑丈な金庫の中にお金を入れておく人が増えるかもしれない(金庫番を雇う人もいるかもしれない)。
名目金利がマイナスになれば、銀行にお金を預けておいても、金利収入が得られない。
それなら、商品を買った方が得だと人々が思えば、お金が消費や投資に回って、景気が刺激されるだろう。
それから、ユーロ圏は機動的な財政政策を実施しようとしても、「
財政赤字はGDPの3%以内」というルールに縛られ、大規模な財政政策を行うことができない。
「マイナス名目金利」誘導によって、資産価格の高騰が起きないのであれば、量的緩和政策よりひょっとしたら、優れているかもしれない。
限られた政策の選択肢の中から選ばれた、「マイナス名目金利」政策は今後ますますマイナス幅を広げるかもしれない。
そのときに、家計・企業・政府はどのような反応をするのか注目したい。
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